当院では糖尿病の診断に必須であるHbA1cの即日検査が可能です。また、薬剤の決定に必要な肝機能・腎機能・脂質検査(コレステロール・中性脂肪など)・赤血球数・白血球数・血小板数なども即日検査が可能です。
お薬を決める方針
糖尿病は血糖値が上がるために尿の量が多くなりのどが渇くなどの症状があります。インスリンの不足やインスリンの効きが悪くなるために発症します。体のエネルギー源である糖を細胞に送り届ける役割を持つインスリンが不足すれば、体重が減ってしまうなどの症状が出ることもあります。そのような場合にはインスリン注射が必要になります。患者様からはインスリンは一度うち始めると止められないなどの声をお聞きしますが、2型糖尿病であれば、インスリン注射は血糖値が良くなれば中止可能な場合もあります。血糖値が非常に高い場合にはインスリンを分泌する膵臓を大切に扱うためにもインスリン注射が必要な場合があります。当院ではインスリン自己注射療法の外来での導入、中止も行えます。
インスリンの不足が軽度の場合や、インスリンの効きが悪くなっている場合には、インスリン分泌を促す内服薬や注射剤(インクレチン製剤)、インスリンの効きを良くするための内服薬が効果的な場合があります。インスリン自己注射療法の必要性が高いかどうかを含めて判断いたします。
インスリンポンプとカーボカウント
これらの治療を行っても血糖値が低下しない場合や、血糖値が非常に不安定な場合にはインスリンポンプ療法(CSII)を導入することも可能です。当院では日本メドトロニック社のインスリンポンプである「ミニメド620G」を取り扱っております。これは、携帯電話程度のサイズの機器にインスリンをセットしてインスリンを皮下に持続的に注射する治療法です。特に1型糖尿病の方ではインスリンポンプ療法をお勧めしています。
インスリンの注射が欠かせない1型糖尿病にはカーボカウント法をもとにした血糖コントロールも行っています。これは食前に注射するインスリンの用量を今から食べる糖質の量にあわせて増減する血糖管理法です。
糖尿病と合併症
糖尿病は眼や腎臓や感覚神経などが悪くなると言われています。血糖コントロールが良くないとこれらの臓器の機能が悪くなってしまい、失明したり人工透析を行うことになったり、足のしびれ・痛みが出ます。これらを避けるために良好な血糖コントロールが必要となります。
糖尿病は高コレステロール血症や高血圧を合併しやすくなっており、更に心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。これらのリスクを推定するために頸動脈エコー検査などで評価し、血液をサラサラにする抗血小板剤内服の必要性を判定します(※)。
糖尿病は菌やウイルスによる感染を起こしやすくなります。感染症にかかると普段より高血糖になりやすくなったりすることと、内服を中止したり調整したりする必要がある場合があります。
他にも糖尿病は悪性腫瘍(がん)のリスクが高いため、自覚症状があったり何らかの兆候がみられればスクリーニング検査も行っております。お気軽にご相談ください。
※ High efficient and cost-effective screening method for diabetic cardiovascular risk
Tadafumi Kajimoto, Mami S Sawamura, Reiko D Hayashi, Takeshi Oya, Rieko A Hirao and Haruhiko Kouhara
Corresponding author: Tadafumi Kajimoto(責任著者:梶本 忠史)