内分泌内科と言うと患者様からは「どのような病気が対象ですか?」との声をお聞きします。内分泌内科は甲状腺、下垂体、副腎、副甲状腺、性腺疾患が対象臓器です。
これらの臓器はホルモンを分泌する臓器であり、そのホルモン異常を調べたり、悪性腫瘍があるかを調べる専門科目です。
内分泌疾患は患者数の少ない病気も多くあり、他科では詳しく検査されず見逃されたり、他の病気と間違われてしまう場合もあります。よって内分泌内科専門医による診断、治療が重要となります。
また、ホルモン分泌と密接に関連するのが骨粗鬆症です。骨粗鬆症に関してもDXA法による骨密度測定をもとに専門診療を行っています。
甲状腺
甲状腺の病気としてはバセドウ病・橋本病・甲状腺腫瘍などがあげられます。バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうことが原因で、体重が減ってしまう、動悸がする、手が震えてしまう、暑がりになるなどの症状がでる病気です。甲状腺ホルモンは体のアクセルに相当するようなホルモンです。体を自動車に例えて言いますとアクセルを踏みっぱなしにしてしまうことで、心臓が速く動くと動悸になったりします。治療は抗甲状腺薬による内服治療が中心となります。
橋本病はバセドウ病とは逆に甲状腺ホルモンが不足してしまう病気です。そのため足が浮腫んでしまい体重が増えてしまう、体がだるい、寒がりになったなどの症状が出ます。治療は甲状腺ホルモン薬の内服となります。
甲状腺腫瘍は多くは良性ですが、中には悪性腫瘍もあり、その評価は超音波検査にて行うのがスタンダードです。
当院ではバセドウ病・橋本病などの診断に必須である甲状腺ホルモン検査(TSH FT4)の即日検査が可能です。
下垂体・副腎
下垂体や副腎の病気は様々あります。これらの臓器は生きていくためには欠かせないホルモンを分泌しており、その不足で場合によっては血圧が低くなりショック状態になってしまうこともあります。そこまでひどくならない場合でも、ホルモンの不足で「体がだるい」「疲れやすい」などの症状が出たり、体重が減ってしまうなどの症状が出る場合もあります。逆にこれらのホルモンが過剰に分泌されると、加齢による高血圧ではなくホルモンが原因となる高血圧や糖尿病になってしまうことがあります。検査としては尿検査や血液検査で診断を行っていき、必要に応じてMRI検査などを検討していきます。
副甲状腺
副甲状腺の病気も様々ありますが、副甲状腺機能亢進症がよくみられる病気です。副甲状腺腫瘍や過形成によりカルシウム代謝を行う副甲状腺ホルモンを多く出てしまいます。
ひどくなると血液中のカルシウムが多くなり、「のどが渇く」「尿がたくさん出る」など糖尿病のような症状となることがあります。そこまでひどくならなくても、骨粗鬆症になってしまったり、認知症が出やすくなるなどの問題もあります。治療は手術療法や内服薬の治療となりますが、手術の必要性を含めて判断することが可能です。
性腺
性腺疾患も様々な病気があります。男性であれば、男性ホルモンの不足で「疲れやすい」「体力がなくなった」などの症状が出たりする男性更年期症候群や、男性ホルモンの分泌がより低下する性腺機能低下症などがあります。必要に応じて男性ホルモンの補充が有効な場合があります。女性では閉経により女性ホルモンが低下してしまう更年期障害があります。「のぼせる」「動悸がする」「だるい」等の症状がありますが、漢方薬などによる症状緩和が有効な場合があります。また女性で閉経が早く来てしまう早発閉経や長期間月経が来なくなってしまう場合があります。女性ホルモンが若くして低下してしまうと妊娠ができないだけではなく、骨粗鬆症になりやすくなってしまったり、下垂体や副腎な どに病気が隠れている場合があります。
これらの診断・治療を専門的に行っています。お気軽にご相談ください。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は高齢女性で特に多くみられます。放置していると、背骨の圧迫骨折になってしまったり、軽い転倒でも骨折してしまうことにつながりかねません。
特に高齢の方では圧迫骨折により、お体が不自由になるなどQOL(生活の質)が大きく損なわれてしまいます。
また、骨密度が低下してしまう原因は年齢だけではなく、ホルモン不足やホルモン過剰が原因であったり、栄養不足による痩せが原因のことがあります。
年齢だけではない骨粗鬆症のリスクを総合的に判断することが重要です。当院では骨粗鬆症の評価に最も有用であるDXA法による腰椎・大腿骨の骨密度測定を行っています。
その上で適切な治療を行うことで骨折のリスクを下げることが重要です。
お気軽にご相談ください。
診療実績
2017年4月~2018年3月 | 2016年3月~2017年3月 | |
バセドウ病 | 136名 | 52名 |
亜急性甲状腺炎 | 7名 | 5名 |
無痛性甲状腺炎 | 4名 | 5名 |
橋本病 | 167名 | 107名 |
甲状腺腫瘍 | 318名 | 299名 |
甲状腺エコー検査 | 708件 | 334件 |
甲状腺穿刺吸引細胞診 | 62名 | 46名 |